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冷たい水で洗米が辛い
真冬のある日、ご来店のお客様がご質問されました。
「水がとても冷たい時期なので、お米を洗米するのにお湯をつかってはいけませんか?」
このお客様は女性で主婦の方です。
手を拝見すると真っ赤になってかわいそうなくらいでした。
この手を見るとさすがにダメとは言いにくいです。
なので、私は3点ほどご提案しました。
まずは、お湯で洗米することですが、本来はよくないとされています。
やっぱり水で洗米したお米の方が美味しいごはんになります。
お湯の温度によっては食味が落ちたり、ぬか臭くなったりいつものようにまく炊けないこともあります。
とはいえ、それでも食べられないほどにはならないと思いますので、それでもよければ水が冷たいときだけでもお湯で洗米という方法もあります。
お湯と言っても冷たい水を少しだけ温かくする程度です。
次に水が冷たい時期だけ無洗米にする方法です。
なじますために1回は混ぜなければいけませんが洗米よりは水に手をつける時間が少なくてすみます。ただ、お米を選ぶ選択肢が少なくなります。どうしても無洗米はメーカーの精米商品になるからです。
次に最近は洗米用の器具もたくさん販売されていますのでそういうものを利用するのも一つの方法です。
買うのが面倒なら、家にある泡立て器でも良いですが金属製は米に傷がつきやすいのでべちゃっとしたご飯になることもあるのでご注意を。
そして、このお客様はとりあえず少しぬるめのお湯を試してみることにされました。ぬるめといってもどれくらいなのか?そうですねだいたい夏頃の常温の水道水くらいの温かさの水ですね。
やっぱりあの手を見てしまっては、美味しいごはんにするためにはお湯で洗米しない方が良いとは言えませんでした。ご家族の方もいつもより少しくらい味が落ちても許してくれます。
なぜ、お湯で洗米してはいけないか
昔から、お米は水で研ぐということが当たり前のようになっていました。
でも最近では、先ほどのお客様ではないですが水が冷たいときはお湯で洗米している方もけっこういらっしゃるのではないでしょうか。
ま、食べられないほどまずくはならないので気にされていないでしょうね。
では、なぜお湯でお米を研いではいけないと言われているのでしょうか?
お答えします。
ごはんを炊いていると、アミラーゼという酵素が働き、お米のデンプンが糖に分解されます。
そして、これがごはんの甘みのもとになります。
でも、お湯でお米を洗米すると、その時点でこのアミラーゼが働くことになり、せっかく出た糖が洗った水といっしょうに捨てられることになります。ということで、水で洗米したときよりも甘みがないごはんになるといわれています。
ちなみに、このアミラーゼが一番活発に働く温度が40℃~50℃と言われています。
ですから、先ほどのお客様にもお湯で洗米するにしろ、せめて夏の水道水くらいの温かさでとお伝えしたのは甘みが減るとしても最小限にした方が良いと考えたからです。
この甘みですが、水で洗米するときも注意が必要です。
というのも、必要以上に洗米し過ぎると米のデンプンが減り甘みもなくなります。
でも、炊き上がりはぴかっときれいに光っています。どちらがいいかはお好みですね。
また、いくら水が冷たいとはいえ60℃のお湯でお米を洗う人はいないかと思いますが、仮にそんなことをすれば、甘みが逃げるどころではありません。
お米の表部分だけがのり状になって、内部まで水が浸透しなくて芯のあるごはんになってしまいます。
甘みといっても人それぞれに感じ方が違うので、冷たい水をあまり我慢しすぎるのもよくないと思います。無理のない程度の水温で洗米してください。
ただし、味を追求するなら少々冷たくてもがんばりましょう。
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