米食味ランキング発表ほんとうに美味しいの？
米の食味ランキング
一般財団法人日本穀物検定協会というところが
毎年米の食味ランキングを発表しています。
でもこれって本当に正しいのかな？
毎年11月から翌年の2月にかけて
食味試験を実施し食味のランキングを
取りまとめています。
食味試験は、この協会で選抜訓練した
専門の評価員である食味 評価エキスパートパネル２０名により、
白飯の「外観・香り・味・粘 り・硬さ・総合評価」の
６項目について、
複数産地コシヒカリのブレ ンド米を基準米とし、
これと試験対象産地品種のものを
比較評価する相対法により行われています。
米屋の私は毎年米の食味ランキングが
発表されるたびに
「あの米は選ばれて当然」
「なぜあの米が特Aなの」など
複雑な思いでみています。
特Aというのは一番ランクが良い米です。
ランキングといっても
順位が発表されるわけではなく
ランクごとに区分されます。
食味ランキング区分の仕方は、
食味の総合評価結果に基づき、
基準米よりも特に良好なものを「特Ａ」、
良好なものを「Ａ」、
おおむね 同等のものを「Ａ’」、
やや劣るものを「Ｂ」、
劣るものを「Ｂ’」
にランク付けしています。
目次
基準米よりまずい米がない
先に書いたように基準米は
複数産地のコシヒカリのブレンド米ですが
やや劣る「B」や劣る「Ｂ’」は
28年29年はゼロですし
それ以前もほとんど見たことがありません。
基準米も以前はずっと滋賀県の日本晴という
昔ながらのお米の品種でした。
基準米を決めるのも難しいかったようです。
だって基準米になると基準以上のお米には
絶対に評価されないですからね（笑）
そりゃ、選ばれるのは嫌ですよね。
ですから最近の基準米は
複数産地のコシヒカリのブレンド米で
その産地は発表しません。
コシヒカリといえば
美味しいお米として全国に認知されています。
そのコシヒカリのブレンド米より
劣る米がないのです。
ということは、今の国産米は
「まずいものがない」ということになります。
確かに最近は、
極端にまずい米はなくなったように思いますが
コシヒカリよりやや劣る米が一つもないとは・・・
同じ品種でも産地でランキングが変わる
このランキングでもうひとつわかることがあります。
同じ品種でも産地が変われば
ランクも違うということです。
例えば、もっとも多く作付けされているコシヒカリですが
基準米とおおむね同等のA´から最高位の特Aまでと
産地によってランクが違います。
また、同じ産地でも地区によってもランクが違いました。
ヒノヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまちという品種も
産地によってランクが違います。
北海道や九州地方独自の品種が
特Aランクを増やしているということは
その産地にあった品種の
お米を作ることが大事なようです。
いずれにせよ、
ランクが上がった産地や品種は
うれしいでしょうし
下がった産地や品種はがっかりです。
最高ラングの産地でもすべての米が美味しいとは限らない
私もこのランキングはその年のお米の
評価のひとつとして参考にします。
しかし、かならずしも完全な評価ではありません。
例えば、以前京都の丹後コシヒカリが
特Aにランキングされました。
これは販売している私としても
大変名誉なことだと喜んでいます。
しかし、京都府丹後地方といっても
とても広い範囲です。
そのすべてのコシヒカリが
このランキングの食味であるのか
というと疑問です。
生産者も違えば栽培方法も違います。
販売する私は当然地元である
京都丹後米を販売するにあたり
細かな場所や栽培方法など
その年の出来を考えて
仕入れをしています。
特Aのランキングに恥じない
食味のお米を提供するため
それは当たり前のことです。
他の特A産地もその都道府県名と
品種名は発表されますが
細かな地域までは発表されません。
せいぜい県の北部や南部といった程度です。
新潟県は魚沼、佐渡、岩船、上越、
など他よりは地域を区切って
発表されていますがそれでも範囲はとても広いです。
そして、範囲が広いということは
その産地のすべての米が
美味しいとは限らないということです。
美味しくないという意味ではなく
そのランクにふさわしい美味しさということですよ。
選ばれた産地品種の米でも
その産地品種すべてが特Aに値するほど
美味しくなければ売る方としては困るのです。
なぜかというと
最高ランクの特Aになると
その産地すべてが美味しいと
認知されるからです。
期待通りの食味でなければ
消費者に偽物を販売しているように
思われます。
以前こんなエピソードがありました。
安売り店などで
偽物の魚沼のコシヒカリが
横行していた時期がありました。
私の知り合いの米屋さんが
正真正銘の魚沼コシヒカリを
販売したところ
それを召し上がった
お客さんが
「まずい、偽物の魚沼とちがうのか」
と言われたそうです。
魚沼＝美味しいお米
という思い込みがあるので
こういうことを言われるのです。
魚沼は産地であって
美味しいお米であるという
証明ではないのです。
ですから食味試験する産地を
もっと細かい地域に区切ってほしいですね。
それと
やっぱり品種ごとの食味ランキングに
するほうが良いのではと思います。
コシヒカリはコシヒカリの特性があり
他の品種もそれぞれ異なる特性があります。
それをごちゃまぜにしてランク付けするのは
どうも無理があると感じています。
お米のコンテスト
そういう意味では各産地や団体がやっている
お米のコンテストのほうが
産地品種生産者まで発表して
日本一を決めているので
わかりやすいですね。
もちろんこれも提出された
お米の中でのランキングではありますし
提出数が少ないときもあります。
しかし、同地域の同品種を
複数の生産者が提出して
優劣が評価されているときもあり、
同じ産地品種でも生産者が違えば評価が変わる
ということを証明してくれています。
とはいえ、この日本穀物検定協会の
米食味ランキングは全国の産地から
代表的な品種を検査して
ランキングをつけていますので規模が違います。
日本でこんなお米が作付けされている
ということがよくわかります。
お米の品種をそんなに知らない方々にも
知っていただける良い機会だと思います。
少しでもお米に興味をもって
「こんな名前のお米もあるのか」
「一度食べてみたいな」など
考えていただけると最高です。
そして、こんなランキング不確かだと
書いておきながら
お米を販売する宣伝文句に
「今年度特Aランクのお米です」
と書いてしまう自分が情けない。（苦笑）
ただ、もっとすごい宣伝がありました。
報道陣がたくさんいる、ある産地の一室に
電話のベルがなりました。
受話器を取る役員らしきひとが
「はい、そうですか、ありがとうございます。」
受話器を置いて、開口一番
「○○が特Aになりましたという報告です」
歓声とともに拍手喝采！
後日、日本穀物検定協会の人が研修会の席で
「日本穀物検定協会から特定の産地にランキング
の報告をするということは一切ありません」
と明言されました。
そうです。
その産地の演出です。
たまたまそのテレビ放送を見ていた私も
そこまでやるのかと感心しました。
産地も自分たちのお米を売り込むのに
一所懸命なんですね。
毎年天候もおかしな具合になってきています。
今までその産地でおいしく作れていたお米が
評価を落としたりしています。
品種改良はこれからもますます
大事になってくるのではと感じますね。
ちなみに、
このランキングに名前はでていないけれど
美味しいお米が
まだまだたくさんありますよ。
さて、2018年産のお米は
どんなランキングになるのか楽しみです。
発表されたら報告しますので
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