食の安全性がより重要視されるようになってきています。
主食であるお米もそのひとつですね。
そんなお米にまつわる「米トレーサビリティー法」をご存知ですか?
お米に関して、生米だけではなくお弁当や外食産業にもそのお米の素性を表示する義務があるのです。
とはいえ、普段なにげなく買っているお弁当やおにぎりなどのご飯類やお米を使った食品、それに外食のときのご飯の原産地の表示などをみたことありますか。
たぶん見たことない人の方が多いのではと思います。
そこで今回は少しでもその米トレーサビリティ法がどんなものなのかを紹介します。
目次
米トレーサビリティ法とは?
お米を使用しているものに何か問題が発生した場合などに、流通ルートを速やかに特定するため、米穀等の取引等の記録を作成、保存すること、産地情報を取引先や消費者に伝達することを義務付けるものです。
2010年10月1日より取引記録の作成・保存の義務付け、2011年7月1日より産地情報を一般消費者まで伝達する義務があります。
生産者は作ったお米の出荷記録を作成・保存し、卸売り業者、製造業者に産地情報を伝達します。
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お米の卸売業者やお米を使用する製造業者は入荷記録を作成・保存し、小売業者、外食業者に出荷するさいの出荷記録を作成・保存し、産地情報を伝達します。
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お米を販売する小売業者(米屋、スーパー等、)、ご飯(米)を提供する外食業者は入荷記録の作成・保存し消費者の方に産地情報を伝達します。
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消費者は産地情報を知ることができます。
こうすることによってどこかの段階で問題があった場合原因の追及がしやすいしそのお米の追跡も可能になります。
ちなみに、トレーサビリティという言葉は「トレースTrace(追跡)、アビリティability(可能)を組み合わせた造語です。食品の移動を追跡できるようにしておくこと」です。
米トレーサビリティ法のできた背景
2008年に事故米不正転売事件が発端です。この事件を覚えている方も多くいらっしゃるのではないかと思います。
事件を起こした米穀業者等が工業用(非食用)に限定された事故米穀(事故米)を安くで落札し、そのお米を出非食用であることを隠して食用として転売していた事件です。その後の調査で多数の業者を介する複雑な流通経路を経た後に、食品加工会社、酒造会社、菓子製造会社等全国の多数の業者に転売されていたこともわかりました。
事故米とは、カビが発生したり、水濡れ等の被害を受けたもの、または基準値を超える濃度の残留農薬などが検出されたものを指す。事故米(じこまい)、汚染米(おせんまい)などと呼ばれています。
この事件のお米は外国産で発がん性のあるカビからできた毒を含んでいた事故米でした。
その事故米がどこに行ったのかどこで販売されているのか国民が不安になったこともあり転売先の名前をすべて公表しました。知らずにかっている転売先の会社が大迷惑でした。
そりゃそうですよね。こんなことで名前が出たら風評被害がすごいです。被害者なのに加害者扱いです。
普通こんなお米を食用として転売すること自体どうかしています。これが原因となり米トレーサビリティ法ができたので今はすぐにその販売先がわかるようになっているので事業者も消費者も混乱が避けられると考えられますが、法律よりも売る人間のモラルが問題なのではと思います。
法律があってもちゃんと、記録を残してあってこそですからね。
米トレーサビリティ法取引等の記録の作成と保存
これは、お米を販売する米屋の私にもかかわることです。
まずは、米や米加工品を入荷した際には伝票等を受領するか取引記録を作成します。ま、これは商売していたら普通はやっていると思いますが。なんでこれがいるかというと、なかには仕入れていない米を販売していることがあるからです。
なんのことと思われるかもしれませんね。例えば魚沼産のコシヒカリを仕入れていないのに魚沼産のコシヒカリを販売している、みたいなことです。
3年間伝票や作成した記録を保存します。これも普通商売していればやってます。税務署もありますからね。(笑)
産地を伝達。米・米加工品を販売する際には、米または米加工品の原料米の産地を消費者に伝えなければなりません。例えば新潟県のコシヒカリのように産地品種を明確に表示してもいいですし、国内産か外国産であるかを伝えるだけでもOKです。
米トレーサビリティの対象品目は何?
米トレーサビリティの対象品目は、お米に関する食品全般で以下の品目です。
米穀(玄米・精米等)
米粉や米こうじ等の中間原材料
米飯類
もち、だんご、米菓、清酒、単式蒸留しょうちゅう。みりん
米トレーサビリティ法一般消費者への産地情報の伝達
伝達の方法は実情に合わせて選べます。
商品の容器や包装に産地情報を記載します。
商品の包装に国産や○○県産等です。
商品の包装に原料米の産地情報はお客様相談窓口へお尋ねください。TEL000-0000-0000
購入カタログや注文画面上に産地情報を掲示
あと、米の量り売りの場合などは店頭POPなどでもいいようです。
先ほども書きましたが国産か外国産だけでもいいのですからそういう表示方法のところも多いです。もっと詳しく知りたい場合はお店の人に聞けばいいと思います。
私の店ではブレンド米の場合は国産だけです。どこの産地品種かを知りたいお客様はお尋ねされますから、その都度ご説明しています。というのもお米の食味や品質状況を確認しながら季節ごとに産地、品種、割合などを変更していきますので、口頭で詳しくご説明する方法をとっています。
意外と米を使用した加工食品の場合この表示を見ない方が多いようです。
お弁当、おにぎり、おせんべいやおもちにだんご、それに、お酒やみりん等あなたは見ていますか。
別に気にしていないでしょうね。私も気にしていませんでした。(笑)
でも、この法律ができた頃どういう風に記載されているのかなとスーパーで販売されている加工食品の表示を見たところ国産だと思っていた商品が外国産だったということはありました。もっとも国産だから安全、外国産は安全ではないということもありませんからね。ただ、自分が国内産だと勝手に思いこんでいただけのことです。
外食産業なども米を使用する食品の産地情報をしたければいけません。
飲食店に行ったらメニューか店内のどこかに国内産米使用、外国産米使用など書いてあるか貼ってあります。たぶん見たことあると思いますよ。記憶にあるかどうかはわかりませんが(笑)
飲食店の場合は、お店によって産地品種まで表示してあるところもありますが、国内産(国産)や外国産という表示の方が多いかもしれませんね。
米トレーサビリティ法調べにきます。
米トレーサビリティ法では、取引等の記録の作成と保存が義務付けされていますがこれをしっかりできているか巡回調査しています。
この法律ができてから先日はじめて私の店にも農政局の方が2人やってこられました。
伝票類や帳簿類を調べ写真を撮り、店にあるお米も写真に撮り約1時間半ほどかかって調査されていました。調査員の方から質問などもあるものですから私もずっとつきあっていました。仕事が・・・(泣)
調査員の方に、「こんあ小さい店に来ないで、もっと不特定多数に販売している大きなお店に行った方がいいのでは」と言ったところ「そっちは、そっちでちゃんと行って調べています」とのことでした。いろんな店を調査しなければいけないそうです。
おかげさまで私の店は、問題なしということでした。
法律を守ることは大切ですが、最終的には売る人のモラルの問題ではないでしょうか。
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