目次
お米を研(と)ぐ
「最近のお米は昔みたいにごしごし研がなくてもいいのかな?」
飲食店のご主人に質問されました。
この質問は、今回に限らず家庭用も含めよくされることがあります。
結論からいえば、そのとおりごしごし研ぐ必要はありません。
もちろんお米にもよりますが、最近の精米機できちんと精米仕上げされているものならほとんどがごしごし研がなくても大丈夫だと考えられます。
たまに、ぬかがいっぱいついているお米や精米が完全でないものなどは少し多めに研いでもいいでしょう。
研(と)ぐのと洗うの違いは
最近の炊飯方法の説明などにはよく作業の手順の項目に「研ぐ」ではなく「洗米」という言葉を使っています。
私のような米屋が読む専門の本にも洗米という言い方で書かれています。
でもこれは、単に言い回しの違いであって実際にする作業自体は変わりません。
ですから仮に研ぐという言葉使ったとしても、昔みたいに掌(たなごころ=てのひら)でごしごし力を入れて何度も何度も研がなければいけないという意味で使われているのではなく、かるくすすぐだけでいいですよということを文字で表現すると洗うという言い方になっているのでしょうね。
それに、炊飯の手順の項目が「洗米」となっていても、それを説明する文章には「研ぐ」という文言が使われていたりすることもあります。
実際に私も「お米を洗う」よりも昔から言いなれている「お米を研ぐ」という言葉を使っています。
でもそれは決してごしごし洗っておくという意味で言っているのではありませんよ。
ま、いうなればお金がまったくない状態を「一銭もない」というのと同じようなことだと考えていただけばいいと思います。一銭なんて今では使用していませんからね。でもたまに使います。(笑)
でも、若い人はこの言葉は使わないかな。(笑)
この例え、わかりにくかったらすみません。
ちなみに、広辞苑によると、洗米とは、神仏などに供えるために洗ってきれいにした米。
研ぐは、研ぐ水中でこすって洗う。
すすぐは、水で洗い清める。
となっています。
研ぎ方によって味が変わる?
研ぎ方によってお米の味が変わるか?というと、めちゃくちゃ変わることはないが多少は変わることがあるというのが正解でしょうか。
一般的に言われているのが、研ぎ方が簡単だと栄養は残るがごはんの味が少し落ちる
充分研いでいるときは栄養は少し減るがごはんの味は前者よりもいいといわれています。
でも、これって感覚的なものですよね。お米を研ぐ人によって研ぐのが充分か不充分か感じ方が違います。
このように実際の目安があいまいなので同じお米を何回か研ぐことによって充分かそうでないかは、分かってくることだと思います。
以前、無洗米が出始めた頃に、私が独自の実験で普通の精米をまったく研がずに炊いたごはんと、普通に研いで炊いたごはんとを食べ比べしたことがありました。
昔のことなので各々の食味の詳細は忘れていますが、そのなかでも印象に残っているのは、思ったほど食味やにおいに差がなかったことです。
特に研いでない方がもう少しぬか臭く感じるかと思いましたがそこまで気になることはなかったと記憶しています。
ですが、普通精米の場合は精米機の性能がよくなったとはいえ、多少のぬかは残っていますので研いだ方がいいですね。ここでいう研ぐはすすぐですよ。
研ぐときに気を付けることは
お米を研ぐときに注意したいのは、あまり時間をかけないことです。
特に最初の水はぬかやほこりのにおいを米粒が吸い込まないように手早く替えたほうがいいです。
その後は2~3回くらいかき混ぜて洗います。これも手早くしましょうね。
研ぐ時間は目安として3~5分以内がいいとされています。
やわらかいお米の場合はもう少し早めにした方がいいでしょう。
あまり研ぎすぎると炊き上がりはぴかっと光って美味しそうにはなりますが、べちゃっとしたり甘みが少し減ったりすることがあります。
家庭用にしても、業務用にしても同じお米をしばらく使用することが多いと思いますので微調整をしながら美味しいごはんになるように研いでくださいね。
ご意見ご質問がございましたら下記LINE@にご登録いただいてメッセージをいただくかお電話にてお問合せくださいね。