先月のNHKスペシャルご覧になられました?
食の起源としてシリーズ全5回放送されるのですが
第一回目は日本人の主食であるお米が、ご飯が特集されました。
ちなみに、2回は塩、3回は油、4回は酒、5回は美食
となっています。
ジャニーズのTOKIOがナビゲーターを務めました。
まぁ、彼らはお米というか農業に関しては他番組でも実際に作っているだけに
この話題にはピッタリの人選だと私は思いました。
そして、番組内では興味深い話が盛りだくさんでした。
やっぱりそうだったか。知らなかった。それは、ちょっと等々
私自身も改めてお米について勉強できました。
なので、あなたがこの番組を観ていなかったことも考えられますので
どんな内容だったのかちょっとご紹介しますね。
目次
糖質制限ダイエットは病気の人だけ
昔から日本人にとってお米は主食でありました。
しかし、近年ご飯は糖質が多いので肥満になるなんてことが言われ
ご飯抜きダイエットなどもはやっていますね。
すし屋でネタだけ食べてご飯を残すなんておかしな食べ方をする方もいるとか。
ところが今回の放送では、糖質を減らし過ぎると人体に悪影響を及ぼす可能性があると指摘されていました。
結論から言うと、低糖質ダイエットは一時的な減量や糖尿病の人が血糖値を下げるのには効果があります。
しかし、低糖質食を長く続けることは健康な人には勧められないということです。
では、なぜそう言えるのか?
それは、この番組のテーマである食の起源にあります。
お米が私たち日本人の主食になった過程に糖質が重要であるという答えがありました。
パレオダイエット(石器時代の食事法)といえば、今まで肉しか食べていなかったとされていました。
が、スペインで古代の人の歯石からでんぷんが発見されたのです。
それで詳しく調べてみると摂取カロリーの5割以上が糖質だったということがわかりました。
生き抜くための主食はでんぷん質のものだったんですね。
火を使う前はドングリなど生で食べていました。
生で食べるとそんなにでんぷんを多くとることができませんでした。
ポイントとなるのが、200万年前ごろです。
火をおこすことができるようになりました。
加熱することによってでんぷんが変化してブドウ糖になる。
ブドウ糖を大量に摂ることができるようになった。
実際TOKIOの城島さんが生のドングリと加熱したドングリを食べ比べたところ
加熱したドングリは甘みがあるのがわかりました。
ブドウ糖と言えば、脳の唯一のエネルギー源です。
このでんぷんを加熱によりブドウ糖に変化できるようになったことが
今の私たちの脳につながっていきます。
というのも
700万年まえから200万年まえの脳の大きさはほとんどかわっていない。
500万年間でほとんどかわっていないんですよ。
しかし、ホモ・エレクトスが火を使ってからは、急速に脳が巨大化していった。
初期の人類の2倍以上に巨大化したのです。
そのおかげで様々な道具を使い生態系の頂点に立つことができました。
現代の私たちの健康にも糖質が重要だった!
糖質を大幅に減らす危険性は世界中で研究されている。
アメリカシモンズ大学ではでは13万人の食生活と健康状態を20年以上調査しました。
その結果、糖質の摂取量の少ない人は標準のひとより1.3倍死亡率が高いことがわかりました。
シモンズ大学のテレサ・ファンさんは
「確かに、低糖質ダイエットは半年や1年十言った期間では減量効果をあげることができます。
しかし、糖質を抜いたダイエットを長年続けた場合深刻な病気のリスクが高まるのです。
と警鐘を鳴らしています。
人類は進化の過程において糖質を「最も重要なエネルギー」としてきた。
それを知るには32憶年前の地球にまでさかのぼる必要がある。
一面緑色の海植物プランクトンが大繁殖をはじめました。
これが光を浴びて光合成がはじまったおかげで地球上に大量の糖と酸素が生まれました。
糖から大量のエネルギーを生み出せる微生物!
しかし、私たちの祖先は原始的な単細胞生物。糖をうまくエネルギーにできませんでした。
それでどうしたかというと、糖からエネルギーを作れる微生物を体の中に取り込みました。
糖を食べて体内の微生物にエネルギーを作らせることのなりました。
こうして糖から大きなエネルギーを得て進化していきました。
姿かたちが変わっても糖質を摂り続けていました。
そして、今も20億年前に体の中に取り込んだ微生物がいるんです。
体を構成するおよそ数十兆個の細胞の中です。
イトミミズのようなものでそれは、ミトコンドリアというものです。
今も全身の細胞ひとつひとつのなかでミトコンドリアが糖を取り込んではエネルギーを生み出しています。
それが私たちの命をささえる根源的な仕組みなのです。
それでは、「もっとも重要なエネルギー」糖質をとらないとどうなるのか?
その場合、たんぱく質や脂肪からエネルギーを生み出す必要があります。
すると身体には思わぬ弊害がおこります。
例えば、血管です。
通常表面が傷つくと新しい細胞が生まれて傷を修復します。
でも糖質がないと細胞が生まれにくくなり傷が蓄積動脈硬化のリスクが高まることがわかっています。
実際長期間糖質の摂取量を大幅に減らすと心臓病に死亡率が50%増加するとの報告もあります。
さらにがんによる死亡率の増加や、脳梗塞の影響も指摘されています。
糖質の代わりに動物性たんぱくをとることが悪さをしてしまうんですね。
低糖質ダイエットは一時的な減量や糖尿病の人が血糖値を下げるのには効果があります。
しかし、低糖質食を長く続けることは健康な人には勧められないといわれています。
このへんは、意見の分かれるところですが中には糖質制限を推奨されている先生もいらっしゃいますね。
ただ、私は米屋という立場ですので、今回の説明が腑に落ちやすいですね。
この番組に出演されていた先生がおっしゃっていましたが、最初の植物がなぜかブドウ糖を作った。
そこからずっとフドウ等は大事なんです。ということです。
第二の食の大革命
1万年前人類はついに自らの手で糖質たっぷりの穀物をそだてはじめます。農耕のはじまりです。
ここで第二の食の大革命です。
なかでも私たち祖先の日本人が選んだのが米でした。
中国浙江省(せっこうしょう)で最近お米と人類の最初の痕跡が発見されました。
現場は1万1千年前の遺跡です。上山遺跡
発掘された太古の米
世界最古の炭化米
実はこの頃の稲は水辺にはえる雑草でした。
糖質たっぷりのおいしさを偶然知った祖先が食べ始めたと考えられます。
主食になった米。実はすごいパワーが秘められていることを今回電子顕微鏡で精密にとらえることに成功しました。
デンプンの中に、たんぱく質、その中に必須アミノ酸、食物繊維も随所にふくまれています。
お米をたくさん食べる日本人は、食物繊維をご飯から一番多くとっているんです。
その他のみ、ビタミンやミネラルと人間に必要な栄養素がぎゅっと詰まっています。
お米は優れた栄養食だったんです。
しかも長期間貯蔵ができるのでいつでも食べることに困らなくなりました。
この優れもののお米が日本でも栽培されるようになったのは、3000年前です。
それまで、木の実などから糖質をとっていた日本人の食生活は激変しました。
私たちは世界でもっともご飯を食べる民族になったのです。
お米を食べ続けた結果
長い間お米を食べ続けてきた日本人の体に思いがけない進化がおきてきたことが最新の研究でわかってきました。
テレビでは実験をしていました。
日本人15人とヨーロッパなど外国人15人ででんぷんたっぷりのクラッカーを同時に食べてもらいます。
同じ速さでクラッカーをかみかみして甘さを感じたらすぐに札をあげるという実験です。
そうすると日本人は早いタイミングで札があがりはじめました。
その差は歴然でした。日本人はでんぷんを食べた時甘みを早く感じることができるのです。
日本人は全員が札を上げましたが、外国人の方では最後まで札を上げなかった人も多くいました。
そういうところでも甘みを感じる能力が日本人は優れているんですね。
そして、これこそが日本人の体におきた進化のあかしなんです。
その正体が最新研究であきらかになりました。
ダートマス大学教授ナサニエル・ドミニーさんの研究です。
世界の様々な民族の唾液を集めそこにある、ある遺伝子を解析しました。
アミラーゼ遺伝子です。
唾液に含まれるアミラーゼという酵素を作る遺伝子です。
この遺伝子が多い人ほどアミラーゼ多く作られ
でんぷんをより早く甘いほうにできます。
ようするにでんぷんを糖に分解するのです。
このアミラーゼ遺伝子ですが日頃あまりデンプンを食べない民族だと4~5個が最も多かったんです。
日本人などでんぷんを多くとる民族は7個と遺伝子の数が多かったのです。
これが甘みを早く感じる理由なんです。
さらに、アミラーゼ遺伝子が多い人は太りにくい体質である。
この教授曰く
アミラーゼ遺伝子が多いことは健康長寿にとって非常に有益である肥満を抑制する効果があるとのこと。
カギとなるのは膵臓からだされるインスリンという血糖値を下げるホルモンです。
このホルモンが出過ぎると太りやすくなります。
でんぷんをとるとき、インスリンどれだけでるかを調べたところ
アミラーゼ遺伝子の多い人は20%もインスリンの量が少ないことがわかりました。
つまり、日本人にはご飯などのでんぷんを食べてもインスリンが出過ぎず太りにくい人が多いと言えます。
ご飯を主食に選びそれをたくさん食べてきた日本人、その食生活があなたの遺伝子まで変化させ
肥満や糖尿病になりにくい体質へと進化させていたんです。
このことは、日本人が長寿である原因のひとつである。
しかし、現代の日本人のなかには、アミラーゼ遺伝子が少ない人もいます。
ただ、アミラーゼ遺伝子が少ない場合でもよく噛んで唾液をたくさん出すことが大事です。
唾液をたくさんだすことでアミラーゼ遺伝子が少なくても全体の量が増えます。
ご飯を1日1㎏近く食べても太らない!
ラオスでは、もち米を家族4人で1日3㎏くらい食べるそうです。
しかし、肥満や生活習慣病の人はほとんどいない。
そこで調査しました。
その村人たちの便を集めました。検便ですね。
腸内細菌をしらべるためです。
その結果、珍しい腸内細菌が非常に多く存在していました。
プリボテラ属の細菌がかなり多くなっていました。
これは、先進国ではあまりでてこないそうです。
ですが、ラオス人は全体の2割もありました。
このプリボテラ菌はごはんなどの糖質が大好きでそれを食べて短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)を作り出します。
短鎖脂肪酸には優れた健康効果があります。
脂肪の燃焼を促し肥満を予防したり免疫の働きをよくして動脈硬化・糖尿病予防したりすることが最新研究であきらかになってきています。
日本人もかつては、ご飯を一日3合くらいは食べていました。
その頃にはプリボテラ菌が多かったと考えられます。
では、現代はどうでしょうか。
50人を対象に調べてみました。
すると、いました。
7.5%と減ってはいましたが、ちゃんと受け継がれていました。
お米は腸内細菌が大好きな成分です。
ですから、お米を腸に届けてあげると短鎖脂肪酸などのもとになります。
健康維持という意味でもいいんじゃないですか。
お米を食べ続けたことで太りにくい遺伝子を獲得健康を守る腸内細菌まで授かりました。
だから、もっとご飯を食べればいいんです。
糖質の最適な摂取量は?
では、飽食の現代最適の糖質の摂取量とはどれくらいなのでしょうか?
最近先進国で1万5千人のデーターが分析されました。
そこで、糖質の摂取量と死亡率の関係がわかりました。
その結果糖質の量を減らし過ぎるとどんどん死亡率が上昇します。
一方、取り過ぎても肥満や生活習慣で死亡率があがります。
最も死亡率の低い摂取量は全カロリーの50~55%でした。
ご飯でとるとしたら、大人は毎食お茶碗に1杯程度が適量ということでした。
が、私としてはもう少し多くても問題ないかなと考えています。
それよりも他の糖質との兼ね合いで、ご飯以外の糖質を減らした方がいいのではと思います。
いままでは、飢餓に対して糖質を多く摂る必要があった。
その結果、脳も糖質が一番美味しいと感じるようになっています。
しかし、今は飽食の時代米以外でもいろんなところで糖質を手に入れることができますよね。
だから、昔から食べているご飯の量を減らしても他のもので糖質をとっているのです。
これって意味ないですよね。
ここで、番組の女性アナウンサーが、デザートを食べるために、ご飯を半分にすることがあると言ったところ。
間違っている。と出演されていた先生に注意されていました。(笑)
その先生曰く、ご飯はご飯、砂糖は砂糖というように、この二つは全く違うものなんです。
砂糖を取り過ぎると一気に血糖値があがり悪い事がある。
同じ糖質でもご飯をたべてよくかめばそれが時間をかけて消化されていく
結局、食を選ぶことが大切なんです。
この番組の内容からも日本人は元来太りにくい体質であることが証明されています。
なのに、最近では肥満や糖尿病など生活習慣病の患者が増えています。
ということは、運動不足もありますがそれ以上に飽食により
バランスの悪い栄養の取り方になっているからだと考えられます。
ですから、糖尿病など糖質制限の必要な場合以外の健康な人は
極端な糖質制限ダイエットなどせず、もっとバランスよく食事をすることをおすすめします。
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