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コシヒカリはもち米が入っている?
「コシヒカリはもち米が入っているので、もち米の入っていない普通のお米ありませんか?」匿名で電話のお問合せがありました。
はっきり言って私はその方がおしゃられている意味がわかりませんでした。
ですから、「コシヒカリはうるち米と言って普通のお米なのでもち米は入っていませんよ」とお伝えしました。
ところがその方は、あなたは何を言っているのかという感じで
「コシヒカリはもち米が入っているんです」
「だからコシヒカリ系のお米はだめなんです」
私は、「えっ、でもコシヒカリにはもち米は入っていませんよ」ともう一度お伝えすると
「わかりました。けっこうです」と電話を切られました。
全然意味がわかりませんでした。(苦笑)
アレルギーだったのかな?
しばらくしてふっとあることが私の頭に浮かびました。
「ひょっとしてアミロペクチンのことかな」
なぜこんなことを思ったのかというと
コシヒカリともち米の共通点を考えたからです。
お米という事では共通していますが今回の電話ではそれは関係ありません。
もち米の特徴と言えば粘ることです。
コシヒカリはうるち米の中では粘りのある品種です。
もちろんもっと粘りのあるお米もあるのですが今回はコシヒカリという品種名がでていたのでたぶん粘りだと考えられます。
でも粘りがあるお米がだめなら、電話で質問されるときに「粘りがないお米ないですか」や「粘りのあるお米はだめなんです」という言い方になると思います。
食味や食感ではないというとそれ以外で共通点は何か?
ということを考えると成分かなと考えました。
お米のでんぷんには、アミロペクチンとアミロースがあります。
そして、もち米はアミロペクチンがほぼ100%です。
コシヒカリなど普通のご飯として食べるお米(うるち米)はアミロペクチンが約80%アミロースが約20%です。
コシヒカリは粘りがあるのでアミロペクチンが少し高め、アミロースが低めのお米です。
ですから、もち米との共通点はアミロペクチンが多いということが考えられます。
そのアミロペクチンが多いとダメだということで考えられるのは
アレルギーのある人だということです。
なぜお米のアレルギーなのと思われるかもしれませんね。
お米アレルギー
卵、乳製品、小麦などに比べると数は少ないとはいえお米が原因のアレルギーの方もいらっしゃいます。
お米のアレルギーの場合、原因として考えられるのが先ほどのアミロペクチンです。
その他にもお米のたんぱく質、お米を作るときの農薬、お米を作るときの有機資材によってなどがあります。有機資材は肥料です。牛糞や鶏糞、魚粉、貝殻・甲殻などを使用するとそれぞれ牛、鳥、魚、貝殻・甲殻などのアレルギーのある方に影響のある場合も。
ちなみに下記は厚生労働省のHPに掲載されているアレルギー物質を含む食品に関する表示についてです。
法令で規定する特定原材料:以下の5品目とした。
①卵、②乳又は乳製品、③小麦 :食物アレルギーの症例数が多いことから
④そば、⑤ピーナッツ :食物アレルギーの症状が重篤なため
表示を奨励する特定原材料:以下の19品目とした。
あわび、イカ、いくら、エビ、オレンジ、カニ、キウイフルーツ、牛肉、クルミ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、リンゴ、ゼラチン
以上
ご覧いただいたようにお米は載っていません。
でも少ないとはいえアレルギーのある方もたしかなので冒頭のお電話のような問い合わせがあるのだと考えられます。
ただお米アレルギーに良いとされているお米に北海道の「ゆきひかり」や「ササニシキ」などがありますが私にははっきりとした理由がわかりません。
ま、アレルギーの研究をしているわけではないので当たり前なんですが。
アミロペクチンが原因のアレルギーなら、アミロペクチンが低い、すなわちアミロースが高い高アミロース米がいいとなります。
しかし、「ゆきひかり」「ササニシキ」ともアミロース含量は約20%と高アミロース米と言われている25~30%以上ではありません。
お米に含まれるたんぱく質が原因としても普通のお米と変わりませんし、ゆきひかりなどはやや高いほうではないかと思います。
農薬や有機資材についてはお米に限ったものではないですし、栽培方法を聞いておけばそのお米を選ぶ必要はありません。
アミロペクチンが原因?
私は、アレルギーの専門家でもないし、研究しているわけではないですが
もしアミロペクチンがアレルギーの原因なら高アミロース米がおすすめなのはわかります。
ただ、需要がまだまだ少ないので作られる量が少ないです。
あまり需要が大きく伸びないのは、普通のお米として食べるにはあまり美味しくないからです。
そういう意味では、ゆきひかりはアミロースが20%くらいで食味もまだましな方だからか良いといわれているのかもしれませんね。
ちなみに、ゆきひかりは昭和59年デビューのお米で当時は北海道のお米にしては良食味ということと価格が安いということで私の店でもけっこう販売していました。
ほんと当時の北海道米はあまり美味しくなかったんですよ。価格は安かったですけでね。
でもその後はきらら397や最近ではななつぼし、ゆめぴりかなど良食味米をどんどん開発しています。
でも、現在のゆきひかりの昔と違い価格は高級ブランド米かそれ以上になっていますね。ま、作られる量も少なくなっていますから仕方ないかもしれません。
お米のタンパク質が原因?
お米のタンパク質の含量が原因であるならば最近のお米はタンパク質をなるべく低くしようという米作りをしています。
たんぱく質の含量が低いほど食味が良いとされているからです。
それこそ二十数年前のお米は精米したお米のタンパク質が7.1%~8.9%の範囲に含まれる品種が1番多かったのですが最近のお米は、玄米で6%台が増えていて中には5%台の玄米もあります。
ちなみに、精米のタンパク質の含量ですが、ゆきひかり、ササニシキは当時7.1~8.9%の数が1番多い平均的な数値の普通グループでした。コシヒカリは7%以下で数が少ないグループに入っていました。
これから考えると、タンパク質の含量だけがアレルギーの原因であるならコシヒカリの方が良いことになります。
ちなみにタンパク質は玄米の外側に多く含まれていますから精米するとかなり減ります。
最近のタンパク質の含量は玄米で量ったものです、昔のタンパク質の含量は精米で量ったものです。
現在のお米のタンパク質の含量がいかに低いかがお分かりいただけます。
むけば(削れば)むくほどタンパク質が減っていきます。
でも普通の精米機では必要以上に精米すると砕けてしまうことになります。
私の店は循環式でむけ加減を見ながら精米する精米機なので多少余分にむいても砕けることは少ないですがそれでも限度があります。
タンパク質の含量が原因なら余分に精米する、そういう方法も良いのではないかなと思います。
ただ、「ゆきひかり」に関してはアレルギー症状を改善させる機能性をもつ品種として注目され研究されているようなので、アミロペクチンやタンパク質だけではなくて、なにか他に効果のあるものがあるのかもしれませんね。
お米アレルギーの方が増えているのかどうか実際の数字は私ではわかりませんが今紹介したタンパク質の含量が昔より減っていたり、お米を食べる量はピーク時の半分以下となっています。
それでもし米アレルギーの方が増えているとしたらお米だけではなく何か複合的なものではないかと考えてしまいます。
食品アレルギーの発症には、腸管免疫の働きや、腸内細菌の種類などが大きく関係しているなどの見解もあるようですがまだまだわからないこともあるようです。
食物アレルギーは発症するとなかなか寛解、完治することがむずかしい人も多いということを聞きます。
お米アレルギーのある方のためのお米の開発や研究が進みそして、少しでも症状が改善され方が増えるようにお祈りいたします。
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