最近でこそ外国産米といっても抵抗のない人が多いですが、以前は外国産というだけで拒絶される人も多かったですね。
平成5年の大凶作の時などは緊急輸入された外国産米が不人気で大変でした。
これは、外国産を国内産のように白いご飯で食べようとしたからですね。
しかし、料理によっては国内産のお米より外国産のお米の方がいいことがあります。
外国産のお米と言っても産地は品種は数多くありますよね。
価格も国内産よりも安いお米が多いです。
とはいえ、販売店も限られてています。
私の店では常時外国産をおいていませんが産地や種類によっては仕入れることが可能な外国産米もあります。
目次
タイ米ありませんか?
お客様「タイ米ありませんか?」
私「すみません、今は販売していません」
最近だと数年に1度くらいの割合で問い合わせがあります。
大凶作と言われた平成5年産米そのあと数年は、日本人だけにとどまらず外国人の方も数多く私の店にタイ米を求めて来店されました。
当時は緊急輸入されたタイ米をたくさん販売していました。
その名残で今でも問い合わせがあるのかな。
でも、あれからもう27年だからさすがにそれはないでしょうね。
たまたまだと思います。(笑)
アメリカ産やオーストラリア産など今でも仕入れられないことはないのですが現在私の店ではあまり需要がないので仕入れていません。
今後需要が多くなれば常時販売するかもしれません。
平成の大凶作
平成生まれの方には記憶にない方や生まれていない方もいらっしゃるでしょうね。
平成5年は大凶作でした。
今でも外国産米と聞くとこの当時のことを思い出します。
お米パニックと言われ米屋やスーパーなどお米を販売する店ではお米を買い求めるお客様で長蛇の列になりました。
Q.お米がなかったから?
A.そうです。
でも、それだけでパニックが起こったわけではありません。
なぜ、パニックと言われるほど騒がれたのか
この年、大凶作に見舞われその頃の1年間で日本人が食べるお米の量が不足することになりました。
その不足分のお米を外国から緊急輸入することになったのです。
中国、アメリカ、オーストラリア、タイなどから外国産米が輸入されました。
Q.不足分を輸入したのなら
お米が足りたのではないですか?
なぜ、パニックになったのでしょうか?
A.それは、外国産米を食べることに抵抗がある人が多かったからです。
その当時もお米を食べる量は年々減っていましたが現在から比べるとまだまだたくさんのお米を食べていました。
もちろん、日本で作られたお米ばかりです。
その頃も加工用としては少し輸入米もありましたが主食用で外国産米は通常ありませんでした。
特に、戦後すぐに外国産米を食べた経験のある方々からは外国産米を食べなければいけないということが非常に不評でした。
なぜなら、その当時は戦後、敗戦国で食糧難の時代です。
相当品質の悪い外国産米でも食べなければいけなかったのでしょうね。
私もお客様からその当時の外国産米の評価をききましたが何とも言えないくさくてまずいお米だったとのことです。
これ、同じような感想を数人に聞きましたからほんと、相当くさかったんでしょうね。
そんな嫌な思い出もあり、いくら当時とは品質が違う外国産米でも食べる気にはなれなかったのでしょうね。
ですから、外国産米を食べるのはどうしても嫌なので日本米を買い占めようと考えた人たちが多くいました。
この時点では、そんなに問題にもなっていません。
しかし、その人たちが買い占める姿を見た人が心配になり今度は自分たちが買い占める人になる。
地域によっては、プチパニックでしょうか。
その様子をテレビのワイドショーがとりあげそれを見た人たちがまた買い占めるという悪循環でパニックになっていました。
この時点で、全国的にパニックです。
特に都市部は大変でした。
お店には、お米がなくなりなぜ売らないとお客様が怒り出し店のシャッターをけられる騒ぎなどもいろいろな場所でありました。
人間の心理ですね。
まぁ、長期間ではありませんでしたが1ケ月くらいはけっこう大変でした。
当時お米屋さんの会合に出席したら皆さん全員がげっそりして「体重が3kgキロ減った」「私は2kgだ」なんて話をされていました。
矢面に立たされた米屋たち
当時は、政府が米を販売する際日本米と外国産米の配分を決めていました。
そして、外国産米の中でも長粒のタイ米と日本米に近い粒の割合も決められていました。
その割合でブレンドされた袋詰めのお米か、もしくは、割合はブレンド米といっしょの日本米、タイ米以外の外国産米、タイ米の3種類をそれぞれ別の袋に詰めてセットで販売するかのどちらかでした。
それを、お一人ずつお客様に説明しながら販売していました。
消費者から直接怒られるのは米屋など米を販売する我々でした。
別に私たちが決めたわけでもないのに。(涙)
どちらにせよ、外国産米、特にタイ米が大不評でセットで販売しても料金は払うからタイ米だけ持って帰ってと言われることも多々ありました。
タイ米の割合は2割だったので10kg買うとしたらそのうち2kgがタイ米です。
中には捨てる人もいてこのタイ米をどうするか頭を悩ませていました。
食べることに困っている国もあるというのに食べられるお米を捨てるのですから問題になっていました。
政府もテレビや新聞雑誌などでタイ米のいろいろな食べ方を紹介したりしてなんとか食べてもらおうとしていました。
私もタイ米を美味しく食べる方法を見つけるためいろいろな食べ方で試食しました。
でも、いくら料理方法を教えてあげてもはじめから食べる気のない方にとってはいらないお節介だったようで残念な結果に。
結局最後はいらないと言われ持ち帰ったタイ米を格安で販売することにしました。
そうすると、口コミで外国人が買いに来るようになり何とかタイ米を減らすことができました。
タイ米を探していた料理店の方もおられ外国産米も一定の需要があることがわかりました。
外国人の中には日本の米よりタイ米の方が美味しいのでよかったと喜んでいる人もいましたね。
TPPでどうなるのか
そんな経験を経て外国産米も料理のによっては必要とされている方もけっこういらっしゃるのがわかりました。
しかし、今後TPPで外国産米がどのような形でどのような価格で輸入されるかによって需要と供給が変わってくると思われます。
まだ、詳しいことは全然わかっていないのでなんともいえません。
これからは、大凶作による緊急輸入ではなく品質の良い外国産米も数多く入ってくる可能性もあります。
しかも価格が安くてです。
自分の国のお米を使用する方がその国の料理が美味しくなるなら
そのために必要なお米を輸入すれば需要はかなりあるかもしれませんからね。
パエリアやリゾットなどお米を使用した外国の料理も数多くありますから。
今後は、私の店でも輸入米の動向を見ながら仕入れも検討していきたいですね。
それによって日本のお米がどうなるかも気がかりですが今は正しい答えが見つかりません。
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