目次
平成最後のお米の食味ランキング
先日、一般財団法人日本穀物検定協会が平成30年産米の食味ランキングを発表しました。
5月に元号がかわるので平成としては30年産米が最後になります。
対象になった産地品種は154でこのうち3分の1以上の55産地品種がランキングで最も高い評価の特Aを得ています。
平成29年産から連続で特A評価を得たのが34産地品種あり、1つ下のランクAから昇格した産地品種が15産地品種ありました。
29年産で特AからAランクに降格して話題になった新潟県の魚沼産コシヒカリも特Aに復帰しました。
宮城県のササニシキもなんと23年ぶりに特Aを獲得するなどササニシキが好きな方にはたまらない結果もでています。
平成29年産が151産地品種のうち特Aが43産地品種だったことを考えると平成30年産が154産地品種のうち特Aが55産地品種なので
天候不順や猛暑だったにもかかわらず、食味の良いお米が29年産より多く収穫されたということで喜ばしいことですね。
特Aランクの産地品種はこのページの下部に記載しています。
食味試験の対象産地品種はどうやって選んでいるのか
まず道府県の奨励品種であることです。
対象になる品種の作付面積が一定の基準を満たすものであること等の基準を定め選定しました。 作られている数が少ないものは対象にはなりません。
ですから、美味しくてもちょっとしか作られていないとランキングにはでてきません。でもこういうお米は意外と多いですよ。
ですから、私の店では独自に各産地の隠れた逸品を探し出しお客様にご提供したいと情報を集め試食し仕入れています。
なお、食味試験の対象品種のうち生産・流通の実情から、同一道府県内を2つ以上の地区に区分されている場合は、その地区別に食味試験を実施しています。
多い所では5、6地区に分かれている産地もあります。
食味ランキングのランクは
米の食味ランキングは、炊飯した白飯を試食して評価する食味官能試験に基づき、昭和46年産米から毎年全国規模の産地品種について実施しています。今回で48回目となります。
昔は産地など米業界内だけで米の食味ランキングの情報が飛び交っていましたが
特に近年になってからは、各産地の新品種の開発PRや米の販売店などの商品販売における宣伝材料として利用されるようになり一般の方々にも認知されるようになってきています。
食味試験のランクをつけるには基準米を決めてその基準米に対して食味がどうであったかで評価をつけます。
現在の基準米は、複数産地のコシヒカリのブレンド米です。
ちなみに、昔は滋賀県の日本晴という品種でしたが基準米である限りそれ以上の評価を受けることができないなどの苦情があり近年複数産地のコシヒカリのブレンド米に替わりましたがどこの産地かは秘密です。ま、先ほどと同じ理由です。
この基準米と試験対象産地品種を比較して
おおむね同等のものを「A’」、
基準米よりも特に良好なものを「特A」、
良好なものを「A」、
やや劣るものを「B」、
劣るものを「B’」として評価します。
この結果を毎年食味ランキングとして取りまとめ発表しています。
それでは、ランキングを決める食味試験はどのようにしてされているのでしょうか?
日本穀物検定協会によると以下の方法で食味試験をしています。
実際に食味試験をするのは日本穀物検定協会で選抜訓練した専門の評価員である食味 評価エキスパートパネル20名です。けっこ厳しい訓練をして選抜されているそうです。
白飯の「外観・香り・味・粘 り・硬さ・総合評価」の6項目について、複数産地コシヒカリのブレンド米を基準米とし、これと試験対象産地品種のものを比較評価する相対法により行いました。
また、エキスパートパネル20名は、予め、食味の順番による評価 の偏りをなくすため、1グループ3~4名の6グループに編成し、グ ループ別に試食の順序を変えて行いました。
食味ランキングの問題
この食味ランキングですが問題点もあります。
ランキングがついた産地品種すべてが同じではないということです。
例えば魚沼産コシヒカリが特Aに返り咲きましたが魚沼地区すべてのコシヒカリを食べたわけではなく極一部だけのお米の試食の評価であること。
それなのに、その産地や地区すべてが同じであるように評価されているような誤解を消費者にあたえてしまう可能性があります。
生産地では、なんとか特Aランクの評価を得ようと米作りに一所懸命に取り組んでおられます。
品質向上につながり販売する我々米屋もありがたいことです。
米業界内ではその年の各産地のお米の出来がどうなのか、ある程度目安としてまた販売するための宣伝として食味ランキングをみています。
実際試食もするのでそのお米がついたランクに相当するのかがわかります。
しかし、消費者は特Aがついた産地品種のお米はすべて美味しい、
AやA´のお米は特Aよりすべて美味しくないと感じるはずです。
そう思い買った特Aの産地品種が考えていたほど美味しくなければ偽物を販売しているのではと疑われかねません。
逆に、とても美味しいお米なのにその産地品種がA´のランクにされていたから美味しくないのではと思われたり
作る量が少なくて、ランキングにその品種名すら載っていないお米はそんなに美味しくないのではと思われたりすることもあります。
このページの下部に特Aランクの品種や産地を掲載しています。
ご覧になられればお分かりになりますがろいろな品種がランクインしています。
品種により特徴が違うお米を同じようにいろいろな品種と比べてランキングさせていいのか?
先ほども書きましたが、基準米はコシヒカリのブレンド米です。
すべてコシヒカリと食べ比べた特徴の違う他の品種の評価をしても良いのかということも感じています。
だってあくまでも、コシヒカリに比べて美味しいや同じくらいや劣ると評価するのですよ
「外観・香り・味・粘 り・硬さ・総合評価」の6項目を比べるといっても
もともとコシヒカリに比べて品種特性で粘りがなかったり硬かったりするお米はいくらその品種としては最高のできであっても評価がよくならない可能性もありますよね。
ただ、評価の詳しい決定方法が私ではどうなのかがわかりませんからなんともいえませんが、願わくばせめて同じ品種で食べ比べた評価も付けていただきたいですね。
しかし、各生産地では本当にがんばって美味しいお米を作る努力をされていますので今の日本では昔と違いまずいお米がなくなっています。
それが証拠に、米の食味ランキングでは基準米である複数コシヒカリのブレンド米よりも同じくらいの評価であるA´、良いとされるA、そして特に良いとされる特Aのランクのお米しかないのですから。
美味しいお米ばかりであるから、そこから突出したお米を探すのが難しいとも言えます。
品種別の特Aランク
最高ランクの特Aですが、30年産はどんな品種がランクインしたのでしょうか。
1位、コシヒカリ14産地 (29年産12)
2位、ひとめぼれ6産地(29年産4)
3位、つや姫4産地(29年産4)
3位、ヒノヒカリ4産地(29年産3)
3位、きぬむすめ4産地(29年産3)
6位、にこまる3産地(29年産1)
7位、あきたこまち2産地(29年産1)
8位、雪若丸2産地
9位、あきさかり、あきほなみ、キヌヒカリ、銀河のしずく、さがびより、ササニシキ、青天の霹靂、てんこもり、とちぎの星、なすひかり、ななつぼし、ハツシモ、ゆめおばこ、夢しずく、夢つくし、ゆめぴりか
以上1産地
品種でみるとやはりコシヒカリが多いですね。
でもこれは、コシヒカリの作付けしている産地が多いのと、
1産地で数地区分けてあるうち3つ4つが特Aをとっているケースもあります。
例えば、新潟県はコシヒカリの産地を6地区に分けてありそのうち4地区が特Aになっています。
つや姫やひとめぼれも同じです。
雪若丸も2産地となっていますが山形県の村上地区と最上地区で2ということです。
産地別で見た特Aランク
北海道 ななつぼし、ゆめぴりか
青森県津軽 青天の霹靂(せいてんのへきれき)
岩手県県南 ひとめぼれ
岩手県県中 銀河のしずく
宮城県 ひとめぼれ、つや姫、ササニシキ
秋田県県南 あきたこまち
秋田県中央 ひとめぼれ
秋田県県南 ゆめおばこ
山形県村上 つや姫、雪若丸
山形県最上 つや姫、雪若丸
福島県会津 コシヒカリ、ひとめぼれ
福島県浜通 コシヒカリ
福島県中通 ひとめぼれ
栃木県県北 コシヒカリ、なすひかり
栃木県県南 とちぎの星
新潟県上越 コシヒカリ
新潟県中越 コシヒカリ
新潟県魚沼 コシヒカリ
新潟県佐渡 コシヒカリ
富山県 コシヒカリ、てんこもり
福井県 コシヒカリ
長野県東信 コシヒカリ
長野県北信 コシヒカリ
岐阜県美濃 ハツシモ、コシヒカリ
静岡県西部 にこまる
三重県伊賀 コシヒカリ
京都府丹波 キヌヒカリ
兵庫県県北 コシヒカリ
兵庫県県南 きぬむすめ
鳥取県 きぬむすめ
島根県 つや姫
岡山県 きぬむすめ
山口県県南 きぬむすめ
徳島県北部 あきさかり
香川県 ヒノヒカリ
愛媛県 あきたこまち
高知県県北 にこまる
福岡県 夢つくし、ヒノヒカリ
佐賀県 夢しずく、さがびより
長崎県 にこまる
熊本県県北 ヒノヒカリ
大分県豊肥 ヒノヒカリ
大分県西部 ひとめぼれ
鹿児島県県北 あきほなみ
同じ産地で違う品種が2つとも特Aになっていることあれば
1品種は特Aでもう1品種がAという産地もあり
同じ産地でも品種によっては食味に差がでるということがわかります。
食味ランキング外の話題性のある産地品種についても食味試験を実施しています。参考品種として発表されています。
そのうち特Aの評価を得たのが
福島県 里山のつぶ、 福井県いちほまれ、 長崎県 なつほのか
の3産地品種です。
なつほのかという品種は、鹿児島県で開発されたのですが残念ながら鹿児島県なつほのかはAランクでした。
福井県のいちほまれは平成29年産もテスト販売だけでしたが特Aランクの評価でしたので2年連続の特A評価ということで福井県が総力を挙げて開発したお米が実を結ぶことになりました。
ちなみに、私の店では減農薬減化学肥料のいちほまれを販売しています。
数量限定なので売り切れの際はご容赦を。
美味しいお米は毎年違います。いろいろ食べ比べてその年の美味しいお米を選んでくださいね。
ご意見ご質問がございましたら下記LINE@にご登録いただいてメッセージをいただくかお電話にてお問合せくださいね。